腐食するステンレス!?

先日、溶接したステンレス鋼の焼き目(溶接して茶色く変色した部分)を、
きれいにする為に、希硫酸に漬けました。
SUS304のFB(フラットバー)の溶接物と、
焼鈍したSUS304の材料を使った溶接物の2種類
普段使用している、SUS304のFBの溶接物は、
焼き目が取れてきれいになりました。
しかし、焼鈍したSUS304の材料を使った溶接物の方は、
表面が軽石の様にボロボロと崩れて、溶けていましたがく?(落胆した顔)
最初は、何か溶けたものが付着してしまったのかと思い、
ペーパーやすりや砥石をかけてみました。
しかし、かければかけるほど、ボロボロと表面が崩れてしまったもうやだ?(悲しい顔)
今度は、バフをかけてみましたが、表面はボロボロ。
寸法的には、少し削っても大丈夫だったので、
エンドミルで0.05mm削ってみましたが、
表面が、鉄の鋳物を削った時の表面のみたいになってしまったふらふら
最終手段で、カッター(チップの付いた刃物)で、
0.2~0.3mm削ったところで、ようやくSUS本来の肌になりましたグッド(上向き矢印)
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今回のSUSが溶けるという現象は、ステンレス鋼の鋭敏化だそうです。
本来ステンレス鋼は腐食されにくい材料として知られています。
腐食されにくいのは表面に腐食を妨げる皮膜が自然にできる為。
この皮膜を不動態皮膜といい、不動態皮膜をつくる金属は、
チタン、アルミ、クロムなどがあります。
鉄にクロムを約12%以上混ぜると秀でた耐食性をもつことが
知られており、これがステンレス鋼です。
耐食性、加工性および郷土が優れていることから一般的に良く使用されている
ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼のSUS304です。
SUS304は、約500~800℃の温度域に長時間保持したり、
高温に加熱後この温度域をゆっくり冷却すると腐食されやすく、
約500~800℃の温度域になると結晶粒界にクロム炭化物が析出します。
このクロム炭化物のクロム濃度は約94%もあり、
結晶粒界近傍ではクロム炭化物にクロムを奪われたクロム欠乏層ができ、
耐食性を失ってしまいます。
このように結晶粒界にクロム炭化物が析出する現象を鋭敏化といいます。
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今回の失敗は、
焼き目を取るために、長時間(2日間)希硫酸に漬けてしまった事
材料を選定する際に、焼鈍したSUSの特性を知らなかった事
(材料屋に確認したところ、焼鈍したSUSは酸に漬けてはいけないといわれていると言われた。)

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